「辺境の街」ウラジオストクを訪ねて。街の大通りと観光スポット

日本から飛行機で飛べば、たった2時間程度で訪れることのできる極東ロシアの都市、ウラジオストク。その地理的な近さから、興味を持っている人も多いはず。今回はウラジオストクがどんな街であるのか、訪れるべき見どころなど観光の情報と合わせてご紹介したい。

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日本海に飛び出した半島の都市ウラジオストク

地図で朝鮮半島の東側の海岸線を指でなぞっていくと、北朝鮮を通り過ぎてまもなくロシアの領土に入る。すぐにぶつかる小さな半島が「ムラヴィヨフ・アムールスキー半島」である。その南端近くにウラジオストクの街は位置している。経度にして広島市のほぼ真北にあたる。

陸から海にかけて広がる丘陵地帯のすそ野にウラジオストクの街並みは広がり、南側のルースキー島と橋で結ばれている。ルースキー島やウラジオストクの南側では海岸線が複雑に入り組んでおり、街は「金角湾」という名の湾を包み込むような形をしている。

哀愁と味のあるロシアの「辺境の街」

2時間で行けるヨーロッパ、と宣伝されることの多いウラジオストクだが、実際の街並みはあくまで「ヨーロッパ風」。きらびやかで洗練された「ヨーロッパらしさ」を求めるなら、ウラジオストクではなくヨーロッパに行ったほうがいい。

とはいえ、景観になんともいえない味があるのがウラジオストク。ウラジオストクの街に立ち込めるのは「辺境の空気」である。

大通りでは最新のファッションに身を包んだ若者が闊歩しているが、ソビエト時代のにおいが残る街並みには今もどこか哀愁が漂う。それに街並みを眺めていると、彩色が施された建物が多いことに気づく。クリーム色、薄いピンク、薄い青、などなど。その色が、なぜかどの建物でも「どこかくすんだ色」なのである。

街並み全体がすすけた色に統一されているようにも見えるのは、そのせいかもしれない。ただ、それはそれでよし。建物の色も併せて、極東のはずれ、首都モスクワから見れば東の果ての都市だからこそ生まれる特別な空気があるのだろう。「辺境の街を楽しむ」つもりで、極東ロシアの雰囲気に浸るのがこの街の楽しみ方というものだ。

主な見どころ

ウラジオストクの街を観光するなら、1日もあれば見どころをざっくりと回ることができる。

ウラジオストクの繁華街は次に紹介する3つの通りで成り立っており、どれも半島の先端を東西に横切るように街の中心を走っている。それからいくつか観光地として訪れる価値のある場所をご紹介する。見どころを歩いてまわるうちに、街の全体像が見えてくるだろう。

 スヴェトランスカヤ通り

ウラジオストクのメインストリートといえば「スヴェトランスカヤ通り」。ブティックや映画館、それにロシアのデパート「グム百貨店」などが立ち並び、通りを行き交うウラジオストク市民の姿でいつも賑わっている。スヴェトランスカヤ通りの西の端にある「中央広場」を起点に、東に向けて歩いて行こう。ウラジオストクのランドマーク「黄金橋」が横切る地点まで歩けば、ウラジオストクの繁華街の半分近くを見終えたといっても過言ではないだろう。

カラベーリナヤ海岸通り

スヴェトランスカヤ通りの南側に平行して走っているのが「カラベーリナヤ海岸通り」。ウラジオストクの港に沿って歩道がずっと伸びている。この通りに沿って歩けば、港に係留されている軍艦などウラジオストクの軍事施設を垣間見ることができる。内部を見学できる「潜水艦C-56博物館」もこの通り沿いにある。

アドミラーラ・フォーキナー通り(噴水通り)

ウラジオストクでひときわ垢抜けた雰囲気のあるエリアで、通称「噴水通り」。スヴェトランスカヤ通りの北側を走っており、半島の西に広がる海まで続いている。通りの中心には噴水が等間隔に配置されていて、その両脇には可愛らしい趣の建物が立ち並ぶ。噴水のそばにはベンチも設けられ、市民の憩いの場となっている。晴れた日の暖かい午後には、ベンチに座ってデートや読書をする人々の姿も見られる。

鷲の巣展望台

ウラジオストク港と黄金橋を見渡すことのできる展望台。ウラジオストクのガイドブックを開いた途端に、まず目につくであろう巨大な橋の写真。あの景色を見たければ、この展望台に登るとよい。スヴェトランスカヤ通りの東に位置する黄金橋よりも、やや北側の高台にある。アクセスするには付近のケーブルカーを利用しよう。

スポーツ湾

噴水通りに沿って西側に歩き続けると海に出る。ウラジオストクの西にある「スポーツ湾」である。ビーチもあり、夏には日光浴や海水浴を楽しむ人々で賑わう。また湾に沿って北寄りに伸びる通りに沿ってアイスクリームやジュースのワゴンが並び、家族連れやカップルが笑いあう姿もしばしば見られる。

スヴェトランスカヤ通りでウインドーショッピングも楽しいけれど、晴れた午後に散歩するならやはりスポーツ湾がいいだろう。にぎやかで明るい港町の雰囲気を楽しむことができる。

ウラジオストク駅

ウラジオストクといえば、世界最長の鉄道路線「シベリア鉄道」の起点となる駅があることで知られる。スヴェトランスカヤ通りの中央広場から5分ほど歩くと、モダンなネオロシア建築の建物が鎮座しているのが左手に見えてくる。建物の正面には「ウラジオストク駅」を意味する「ВОКЗАЛ ВЛАДИВОСТОК(ヴァクザール・ヴラディヴォストーク)」の文字。駅前はバスターミナルになっていていつも混雑している。

跨線橋から下へ降りてみよう。乗車券がなくても列車をそばで見学することができる。列車が入線していれば、それはもしかすると遠くモスクワまで旅をする列車かもしれない。そのそばで抱き合う人々は、再会を喜んでいるのか、別れを惜しんでいるのか。想像力をかき立てられるロマンチックな場所である。

永遠の火

最後に「永遠の火」に触れておく。ウラジオストクを訪れるならぜひ足を延ばしてほしい。スヴェトランスカヤ通りを東へ歩くと、橋が近づいてくる頃に地面のひとところで火が燃えている場所に出る。それが「永遠の火」。第二次世界大戦の戦没者に向けて灯されている慰霊の火である。その周囲にはソ連時代のシンボルと共に慰霊の彫刻が刻まれている。

戦争でロシア人を殺したのは誰か。その中には日本人も含まれている。同時に「シベリア抑留」では多くの日本人が捕虜となり、祖国を再び見ることなくシベリアで没した。ウラジオストクやハバロフスク、そしてイルクーツクでも、日本人墓地が作られている。

どちらの国が悪いと叫びたいのではない。ただ、日本の若い世代にとって戦争は歴史の中だけで起きたことになりつつある。しかし日本とロシアのどちらの人々にとっても、出兵し、捕虜となり死んだ人々は私達の祖先であって、決して他人事ではない。だからこそ「永遠の火」は今日も明日もウラジオストクで灯されている。

ウラジオストクのおすすめお散歩コース

どのあたりに宿泊するかにもよるが、効率よくこれらの見どころをまわるなら、きっとこんなルートになるのではあるまいか。

「ウラジオストク駅」→「中央広場」→「スヴェトランスカヤ通り」を東へ→「鷲の巣展望台」→「海岸通り」を西へ→「噴水通り」を西へ→「スポーツ湾」

これらの見どころなら半日程度で観光することが可能だ。ゴールのスポーツ湾からどこへ移動するかはお好みで。おみやげを見に行ってもいいし、地元のスーパーマーケットを探検したければ、アクセスしやすいのは「クローバーハウス」。ウラジオストク駅のあるアレウーツカヤ通りと噴水通りがぶつかる交差点に建っている。

「ロシアらしさ」という魅力

ウラジオストクの街を歩いていると、「ロシアらしさ」という魅力がだんだんとわかってくる。決してきらびやかではないけれど、どこか奥深い味のある文化。ロシアにいったんはまると、なかなか奥が深くて大変な目に合う。何しろ国土は広大で、未知の場所はあまりにも多いのだから。

日本からわずか2時間で訪れることのできる「辺境の街」、ウラジオストクは、その入り口とも言うべき都市だ。その物理的な近さを活かして、まずはロシアの端っこに飛び込んでみてはいかがだろうか。

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