ロシアの英語事情について。果たして英語は通じるのか?

ロシア旅行を考える時に、ふと浮かぶ疑問。

「ロシアで英語は通じるのか?」

筆者は過去に2度、ロシアを旅行したことがある。首都モスクワと第2の都市サンクトペテルブルクは2度訪問し、ウラジオストクからイルクーツク、モスクワまでシベリア鉄道にも乗車した。その際の実体験をふまえて、「ロシアの英語事情」について書こうと思う。ロシア渡航を検討される方にとって本記事が参考になれば幸いである。

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「街中で英語はほぼ通じない」と覚悟をすべし

僭越ながらアドバイスを申し上げる。「ロシアでは英語は通じない」と心づもりしておくことをおすすめする。心の準備をしておけば、少しは気楽に旅行ができるかと思う。

駅、スーパーマーケット、街の大通り…筆者の体験した限りでは、英語はほぼ通じない。首都モスクワやサンクトペテルブルクでは、観光名所やおみやげショップ等で英語を話すスタッフがいることもある。ただしあまり期待しないこと。基本的には英語は通じないものと考えて準備するほうがよい。

中でも全く英語が使えず困ったのは鉄道駅。これは首都モスクワでも同様である。

大都市の主要駅では窓口に長蛇の列ができていることも多い。ようやく自分の番がまわってきたので、切符を買うのに初歩的な英単語を投げかけてみる。すると、窓口職員は顔をしかめるばかりなのだ。通じないのである。たとえば、one、two…と数字を表す英単語を一語ずつ言っても、まったくわかってもらえない。

背後には長蛇の列。途方に暮れていると背後のお客さんも殺気立ち始めるし、窓口職員にいたってはしかめっ面がやがて怒りの表情に変わっていく。しまいには「もういいわ。次の人」と追い払われたこともあった。あの時はあまりの仕打ちにショックで立ち尽くしたことを覚えている。近くに英語を話せる人が偶然いて、通訳してもらったこともあった。

こんな事態にいちいち動じないためにも、筆談道具や行き先を書いたメモ等をポケットに忍ばせておけば、少しは意思疎通の役に立つかもしれない。

それからもうひとつ。ロシアでは地元の人に英語で話しかけると、(こう言ってはなんだが)ちょっぴり嫌な顔をされることがある。ソビエト時代の反米教育の結果なのか、英語だから嫌なのか、そもそも外国語自体が嫌われるのか…とにかく、ロシアの人々は、往々にして外国語で話しかけられることに慣れていない。

英語を耳にした相手がちらりと不快な表情を浮かべても、慌てないで。それはロシアの普通だと思ってください。落ち着いて会話のモードを切り替えましょう。私はスーパーのお惣菜コーナーでピロシキを指さしながら「Meat?(お肉入りですか?)」と尋たら、「はあ!?」と恐い顔をされたことがある。

ちょっとくらいしかめっ面を向けられても、へこたれないこと。心のタフネスとしなやかさが大切。

とはいえ、まずは話しかけてみよう

ただし「絶対に英語が通じない」とは限らない。ロシアにも英語を流暢に話せる人はもちろんいる。ただ街中の人混みにまぎれてわかりにくいだけだ。だから初めから無言を貫くよりも、まずはぜひコミュニケーションを図ってみてほしい。せっかくの旅行ですもの。

あくまで「通じないだろうな」と念頭に置きつつも、まずは英語で話しかけてみる。通じればラッキー。もし通じなくてもへこたれない。お互い言葉がわからないなりにコミュニケーションをやり遂げられたら、それも素敵な旅の思い出だ。

英語で話しかけたら恐い顔をされた、なんて話を書いたけれど、本当はロシアの人々は、とても気さくでフレンドリーな人達だ。皆が皆、大統領みたいにスーパークールというわけではないのでご安心を。まずは気軽に話しかけてみよう。大統領さんも、時々お茶目な表情を見せることがありますよね。

訪日ブーム前の日本と似た英語事情

英語の通じない国、というと筆者は日本を連想する。しかし最近の日本はひと昔前に比べてずいぶん英語が普及したのではないかな。訪日観光客の激増で都会には英語の表記があふれているし、交通機関、飲食店、観光地等では英語での接客が当たり前になりつつある。

で、ロシアはというと、その「ひと昔前の日本」がもっと極端になったイメージだ。英語ができる人はすごくできる。できない人は全然できない。

ただ日本の場合、英語が苦手だと思い込んでいたり、自信だけが足りていなかったりすることもあると思う。口では苦手、苦手と言いつつ、簡単な英単語はみんな知っている。なにせ開国以来、日本には西洋文明とともにたくさんの外来語が流入し続けているのだから。

でもロシアには外来語の素養が存在しない。だから簡単な英単語ですらほとんど知らない人と、とっても流暢に英語を操る人、この差がロシアではとても大きい(そして現状では、英語を話せる人がずっと少数派ということだ)。

その要因のひとつには、やはり国家体制の変化がある。30年前までソビエト連邦であったロシアでは、年配の人には英語が全く通じない。年齢層が高くなるにつれ、知っている英単語の数が減っていく。駅の職員には年配の方が多いので、英語が通じないのは当然とも言える。

一方英語教育を受けている若年層は、中年以上の人々に比べてやはり英語にずいぶん慣れている。とはいえ、英語に対する接し方は人によってずいぶん違う。単語をつなぎ合わせて会話ができる人もいれば、「英語、苦手だから」と会話を断る人もいる。

もし街中で何かを尋ねたい時、そして若干急ぐ時は、若い人のほうが英語の通じる確率は高い。

首都モスクワは国際都市というだけあって、少なくとも観光客の訪れるような場所では英語を話せる人が格段に多い。ウラジオストクの辺境からシベリア鉄道を乗り継ぎ、はるばる辿り着いたモスクワのスーパーのお会計で、英語で代金を告げられた時にはかえってショックを受けたものだ。

それから大都市では、きちんとしたホテルなら基本的に英語が通じる。ホテルの従業員の英語は素晴らしく流暢で、発音も美しい。非常に訓練されている。タクシーを呼びたければ、予約と料金交渉をしてもらうこともできる。心強い存在である。

キリル文字を読めれば御守りがわりに

キリル文字。ロシア語や他のスラブ言語で目にする独特の文字である。せめて簡単な発音だけでも頭に入っていると、ロシア旅行ではとても役に立つ。

ロシアでは街中でなかなか英語が通じないだけでなく、英語表記の道案内がほとんどない。駅名だってキリル文字のみ。だからカタカナの発音だけでも覚えていると心強い。

このキリル文字、ロシア語では33文字が使われている。中には英語のアルファベットと似た発音のものもいくつかあるので、発音に関して言えば新たに覚えることは実はそれほど多くない。

たとえば「РЕСТОРАН」。何と読むでしょう?

「Р」は子音で、日本語ではラ行の音に近い。「С」はサ行、「Н」はナ行。他の字は英語のアルファベットと同じように読めばよい。だから答えは「レストラン」。

習いたてのうちは音と字の組み合わせが奇想天外にも思えるが、やってみると意外にすぐ慣れる。ロシア旅行を準備するなら、旅の気分を盛り上げるためにも一度トライしてみてはいかがだろうか。

英語を話す子ども達

シベリア鉄道で幼い子ども達と乗り合わせた。よちよち歩きの赤ちゃんから、小学校高学年ほどの年頃まで、いろいろな年齢の子ども達が同じ車両に10人近く乗っていた。夏休みが始まったばかりで、田舎の祖父母の家やダーチャ(畑付き別荘)に向かう途中だったのかもしれない。私の客室にも、12歳の少年がいた。

彼らの目には、外国からの旅行客である私は非常に珍しい存在として映ったらしい。女の子は習いたての英語を試しながら私にじゃれついて離れない。男の子は外国への興味関心から私を質問攻めにする。彼らの無邪気さといったら。

彼らは英語を使うこと自体を楽しんでいるようにも見えた。英語で何かを言おうとして、単語や言い回しを思い出せない時、母親が助け舟を出そうとするのを制止する。「今、言おうとしてるんだから!」

今までに見知ってきたロシアとは違う、まったく新しいロシアを前にしているようだった。彼らがもう少し大きくなって、多感な年頃を迎えた時、もし幼い日々に試して遊んだ英語を気さくに使い続けていたら…。そんな子ども達がロシアに大勢いるのだとしたら?

私の乗車したシベリア鉄道は《ロシア号》、少年の母親曰く、新しい車両で運賃が若干割高らしい。だから乗客は富裕層が多いのだと。

だから列車で一緒に過ごした子ども達は、もしかすると質のよい教育を受けている少数の人達であったのかもしれない。それでも彼らが大人になった時のことを想像せずにはいられない。

あと10年、20年もすれば、もしかするとロシアは明るく開放的な国へと変化しているのではないだろうか?子ども達とじゃれあいながら覚えたのはそんな感慨であった。彼らが大人になるまでに、世界中のいかなる大人達も、彼らの成長を阻むことのないよう祈るばかりである。

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