ロシアビザ緩和の続報―ウラジオストクでeビザ開始

ビザを取得しなければ日本のパスポートでは旅行ができない国、ロシア。しかし2017年春、ビザ取得の手続きを今後大幅に簡素化するという「ビザ緩和」の計画がロシア政府より発表された。当時の報道によると、運用開始予定日は2017年8月1日。目立った続報のないまま夏を迎えたが、とうとうeビザ(電子ビザ)申請のための専用サイトがオープンした。

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ロシアビザ緩和の計画について

詳細は過去のこちらの記事でロシアビザの取得方法とともにご紹介したが、簡潔にこれまでの経緯をまとめておく。

まずロシアの観光ビザを取得するには、基本的には旅行会社にて宿泊施設等を予約し、ビザ申請に必要な書類を発行してもらう必要がある。そしてその書類を大使館に持ち込む。

これが煩雑だし、お金もかかる。大使館は平日しかオープンしていない。しかし2017年4月にロシア政府が発表したビザ緩和とは、eビザ、つまりあらかじめWEBでビザ申請をするだけでロシアに入国できるとの内容だ。要はアライバルビザを取得するのとほぼ同じ要領である。ただし入境はウラジオストク限定、滞在期間は最大8日まで。

実はそれ以前にも時折「ビザ緩和」の報道はチラホラと流れてはいた。しかしいまいち進展が見えないまま時間ばかりが流れ、ロシアファンはじらされ続けた―2017年春の発表に胸を熱くした人もいれば、半信半疑の人もきっといただろう。

目立った続報のないまま、eビザ運用開始と言われていた2017年8月1日は過ぎ去った。そしてとうとう、eビザ申請用の公式サイトが稼働を開始した。

eビザ申請用のホームページがオープン

その専用サイトを確認してみると、おおむね先の発表と違わぬ内容が、eビザ申請のメリットを強調する形で記載されている。ビザ緩和の発端でもある、観光を通じた経済活性化というロシア側の希望が画面からうかがえる。

それにビザを取り扱うロシア大使館のホームページも確認してみると、英語ページにeビザ(electronic visa)の項目が追加されていた。

専用サイト、および大使館サイトに掲載されたeビザについての説明書きを、一部抜粋しこちらに転記する。

・WEBで申請フォームを送信した後、4日以内にビザが発行される。入国予定日の20日~4日前までにフォームを送信。写真も必要

・eビザの申請は無料。また、申請時に招聘状や予約確認書等の書類は一切不要

・eビザはウラジオストクでの入出国時のみ適用可能。空港とフェリー港のどちらも利用可能

・eビザは発行後30日間有効。滞在期間は入国から最大8日まで

・適用可能なビザの種類は「観光ビザ」「業務ビザ」「文化交流ビザ」の3種類。ロシア滞在の目的がこれ以外の場合は、従来の方法でビザ申請が必要

・従来の方法でロシアビザを取得した後、さらに重複してeビザを取得した場合、滞在可能期間等は従来のビザの内容に準じる(eビザより従来のビザの内容が優先)

・eビザにより滞在が可能となるのは入国した地域内に限定される。現段階でeビザにより滞在可能となる地域はプリモルスキー地方のみ

専用サイトのページの下のほうには、おまけで「HAVE A NICE TRIP!(よい旅を!)」の文言つき。これまでのロシアとは大違いのオープンな雰囲気だ。うきうきするよりもまず「これは現実なのか?」と画面を疑いたくなってしまう。

しかし上記の説明書きの中でも、引っかかるのは最後の文章である。「プリモルスキー地方(沿海地方)」というのは、ウラジオストクを州都とする極東ロシアの行政区画のひとつである。各メディアでは、eビザでウラジオストクから入国した後、ハバロフスクやサハリン、カムチャッカ地方への旅行が可能になるとしばしば報じられている。

しかし行政単位としての「プリモルスキー地方」にはこれらの地域は含まれない。大使館とeビザ専用サイトを見る限り、ハバロフスクやサハリンについては一切記述がない。この報道内容とのギャップには要注意だ。ロシア政府発表の正式情報においてこれらの地域への言及がなされるまでは、安易に行動範囲を広げる計画は立てないほうがよいだろう。

しばらくは従来通りの方法でビザ取得の検討を

現在(2017年8月3日時点)eビザは試験運用中。正式稼働は2017年8月8日からいうことなので、いましばらく焦らずに動向を見守っていよう。

それにeビザ導入についての情報はいまだ巷にあふれているとは言えない。メディアの報道によれば、各旅行会社もeビザについては慎重に利用することを薦めているようだ。しばらくは従来の方法でロシアビザを取得する心づもりをしておいたほうがよいだろう。

ロシアのeビザ運用開始に対する希望

とはいえeビザ専用サイトがオープンするなど、ロシアビザ簡素化の実現まで着実に一歩ずつ、事態は進展しているととらえて差し支えないだろう(あまり期待すると裏切られた時に悲しい。じらされ続けるのもつらい。なので筆者はこの程度に気楽に構えている)。

それにまずはウラジオストクでの出入国時に限った運用ということではあるけれど、長期的な視野においては、eビザの適用範囲は今後拡大されるのでないか?と筆者は(ほどほどに)期待している。

というのは、大使館サイトとeビザ専用サイトより転記した上記の文言の中で、次の部分に注目したい。

「eビザにより滞在が可能となるのは入国した地域内に限定される」

(Foreign citizens that entered Russia with electronic visas have the right to reside and move only within the region of the Russian Federation which they entered. )

eビザそのものを定義づけるかのような文面である。もしかして、そこにはeビザの運用を将来的に拡大する見通しがあるのではないか?

いずれウラジオストク以外の地域でもeビザの運用が開始されるなんてことを、この文面を見ただけで想像するのはちょっと飛躍が過ぎるだろうか?しかし、今後もeビザがウラジオストクに限った話であるなら、こんな書き方をする必要はないのではないか?

それに2017年6月にロシア南部のクラスノダールで会議が行われた際、セルゲイ・ラブロフ外務大臣はクラスノダールのコンドラチェフ知事にこんなメッセージを発している。筆者にて要約した訳文を記載する。

「我々はウラジオストク自由港についてeビザの新規導入を決定し、間もなく運用を開始します。その動向しだいでは、知事の提言通りクラスノダール地方へのeビザ導入も検討しましょう。ともかくも我々はクラスノダール地方に観光客を誘致する点については全力で支援をするつもりです」

黒海に面し、ソチなどのリゾート都市を有するクラスノダール地方の観光活性化を図る手段として、eビザ導入がここでは言及されている。ただしラブロフ外務大臣は続けて「まずはリゾート都市としてのサービス向上を」と知事に要請しているので、どれほどの具体的な見通しをもってeビザに言及されているかは不明ではある。

しかし確かにうかがえるのは「eビザを導入し、国境の扉をいま少し開くことのメリット」を、ロシア政府も認識しているということだ。実行するかどうかはともかく。少なくともある地方に環境整備をがんばってもらうのに、引き合いに出すくらいには。

たったこれだけの手がかりからeビザのさらなる拡大を想像するのは、ちょっと早計だろうか?しかし希望を持って事態を見守りたい。希望を持つことは誰にだって許されている。

のんびりとビザ緩和の本格稼働を見守ろう

eビザの正式稼働は2017年8月8日。しかし情報が周知され、簡素化されたビザの運用が軌道に乗るまで多少は時間がかかるだろう。不用意に飛行機に飛び乗って、空港で入国を拒否されたらたまったものじゃない。ビザについては慎重に。そして、何よりまずロシア大使館のサイトなど、正式情報を各自で確認すること。慎重になりつつも、希望を忘れずに。

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