ロシア観光ビザの申請方法と極東地域のビザ緩和について

2017年春、喜ばしいニュースが舞い込んだ。ロシアの極東地域において、今後入国ビザ(査証)が緩和されるとの内容だ。現在、日本のパスポートでロシアに入国するには、あらかじめロシア大使館に申請し、ビザを取得しておく必要がある。今回のニュースは、その手続きを極東の港から入国する場合に限り簡素化し、ビザの内容も緩和するというものである。

ただ予定通りにビザ緩和が実現したとしても、首都モスクワやサンクトペテルブルクを旅行する場合には、従来の方法でビザ申請をしておく必要がある。ここでは、一般的な観光ビザの申請方法と必要な書類等を紹介した上で、極東でのビザ緩和について記したい。

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ロシア入国にはビザ取得が必須

日本人は幸いにも、多くの国と地域において、入国前にビザを申請せずに観光することができる。2017年5月時点では、その国と地域の数は67。しかしロシアファンとしては悲しいかな、現状では、その67の国と地域の中にロシアは含まれていない。ロシアを旅行する場合は、入国前にビザを取得しなければならない。

一般的な「観光ビザ」の取得方法

現時点では、観光目的であれば、一般的には「観光ビザ(ツーリストビザ)」を申請することになる。滞在可能期間は30日。ただし事前に申告した入国日・出国日にあわせて発給される。

ビザ申請の費用

ビザ申請時に窓口で手数料を支払う必要がある。申請書の持ち込みから何日以内にビザを受け取りたいかによって、費用が変動する。観光ビザの場合、費用は以下の通り。

  • 10営業日以降の受け取り:無料
  • 4~10営業日以内:¥4,000
  • 3営業日以内:¥10,000

ただしなるべく日程に余裕をもって申請することをおすすめする。書類に不備があれば、速やかにビザが発給されない可能性もある。

申請にあたって必要な書類

申請にあたっては、大使館の窓口まで以下の書類を提出する必要がある。下記のリストは、観光ビザ申請時に必要な書類をロシア大使館のホームページから抜粋したものだ。なお郵送でのビザ申請は受け付けておらず、必ず人間がパスポートと書類を持参して窓口まで出向かなければならない。

  • 申請者のパスポート原本
  • 電子査証申請書(EVA)
  • 写真1枚(パスポート用サイズ 4.5х3.5cm)
  • 旅行会社が発行する旅行確認書
  • 旅行会社が発行するバウチャーのコピー

ここで、おや?と思われた方もいるかもしれない。この持ち物リストの中に、ロシア旅行の準備をするヒントが隠れている。まずは「旅行会社が発行する…」というフレーズに続く、2つのちょっとよくわからない書類。「旅行確認書」そして「バウチャー」である。

「旅行会社が発行する旅行確認書」とは

ここでいう「旅行会社」は「現地(ロシア)の旅行会社」を指す(ロシア大使館のホームページでは「受入れ先」とも表記されている)。「旅行確認書」とはロシア政府の登録を受けたロシアの旅行会社が発行する書類で、旅行会社の社印と責任者の署名が書かれていなければならない。

つまり、ざっくり言えば「この日本人がロシアを旅行予定であることを確認しましたよ!」というロシア側の証明と、それを証明するロシア側の旅行会社についての書類である。

「旅行会社が発行するバウチャー」とは

一方こちらの「旅行会社」は、「日本国内でロシア旅行を取り扱う旅行会社」を指す。「バウチャー」とは旅行会社が発行する「予約証明書」のような書類で、以下の内容が書かれている必要がある(こちらもロシア大使館のホームページより抜粋)。

  • 旅行者のデータ(氏名、生年月日、パスポート番号)
  • ロシア入国日および出国日
  • 観光ルート、移動手段、宿泊場所、観光プログラム
  • 旅行会社の署名と印
  • 支払済み証明
  • ロシアの受入れ旅行会社名とその旅行レファレンス番号

つまり、ロシアの入出国の手段と宿泊場所の予約、および旅行代金の支払いが完了していることを日本の旅行会社が証明する書類である。かつ「バウチャー」にはロシア政府から登録を受けた現地旅行会社と、その会社がもつ旅行レファレンス番号も明記される必要がある。

ロシア旅行の自由を奪う「バウチャー」

だいぶん、筆者の批難が織り交ぜられた表現になってしまいました。このビザ制度のためにロシア旅行は「あらかじめ決めたルートを辿る」という旅になってしまうのが現状である。「バウチャー」作成のためには旅行会社を通じて、航空券や移動手段、宿泊施設を事前に予約しなければならない。現地で気の赴くままに旅程を変更することは難しく、トラブルを招きかねない。

またバウチャー取得のために予約するホテルや交通機関の料金は、ロシア国内での手数料が発生するため現地購入価格よりも割高になってしまう。国内の旅行会社に支払う手数料も相まって、旅行会社による旅行手配はどうしても費用がかさむ。とはいえ、ロシアと日本の国同士が決めたビザ制度なので、ロシア旅行には当面必ずつきまとう問題である。

ロシア旅行を手配する一連の流れ

それでは「現地旅行会社の予約確認書」を取得するために、ロシアの旅行会社に個人が連絡をとらなければならないかといえば、決してそうではない。「バウチャー」も必要なので、個人はまず日本国内の旅行会社に手配を申し込むことになる。申し込みからビザ申請まで一連の流れをまとめると、下記の通りである。

  1. 旅行者が日本国内の旅行会社に、希望の日程を伝えて見積り依頼
  2. 提示された見積りで問題なければ正式に申し込み
  3. 日本国内の旅行会社から、ロシアの旅行会社に手配依頼
  4. 問題なく手配完了すれば、日本国内の旅行会社でバウチャー・請求書作成
  5. 旅行者は、日本国内の旅行会社からバウチャー・現地旅行会社の予約確認書・請求書受け取り
  6. 旅行者は、バウチャー・現地旅行会社の予約確認書と、パスポート等を添えて大使館でビザ申請
  7. 旅行者は、しかるべき日数の後にビザ受領
  8. ロシアへの旅立ち

つまり、日本国内の旅行会社に旅行の申し込みをすれば、ビザ申請に必要な「予約確認書」も準備してくれる。

以上をふまえ、観光ビザ申請についての謙虚な意見

結論から申し上げて、諸々の予約とバウチャー発行だけでなくビザ申請までをひっくるめて、日本国内の旅行会社に一任することを個人的にはおすすめしたい。多くの旅行会社ではビザ申請の代行サービスを行っており、1万円程度の手数料(大使館への申請料をのぞく)で引き受けてくれる。

その理由をあえて述べるなら、以下の2点だろう。

  • 書類の不備を防ぎ、スケジュールに合わせて確実にビザを取得できる
  • 平日に大使館に出向くために学校や会社を休まずに済む

旅行会社に見積りを依頼する際、ビザ申請の代行についても追記すればよい。休みがなかなかとれず大使館に行くのが遅くなった、書類に不備があった等の理由でビザ発給が出発に間に合わなければ元も子もない。

極東ロシアの入国ビザ緩和について

以上のような旅行手配の流れ、観光ビザ申請について、どのような印象を抱かれただろうか。筆者の感想はただ一言、「煩雑」である。もし手元にあればロシアの地図を広げてみよう。小さな日本列島の海を挟んですぐ北東にウラジオストクがある。そしてはるか北西に位置する大都市、モスクワとサンクトペテルブルク。その間には東西に横たわる広大なシベリアの大地がある。シベリアにはまだまだ一般には知られていない魅力的な土地がたくさんあるはず。それらを自由に巡りつつ、ビザの有効期限を心配することなく旅してまわれたら…。

今回の極東ロシアの入国ビザ緩和のニュースは、そんな「ロシア夢の自由旅行」にほんの少し近づくことできるかもしれない吉報である。2017年4月17日、ロシア連邦政府のオフィシャルホームページで、以下の内容の文書が発表された。

ロシア政府は、外国籍の者がウラジオストクを経由してロシア連邦領内に入国する際のビザ取得手続きを簡素化する。定められた地域の国民はeビザを使用でき、その地域とは、日本・中国・韓国を含めた18の国である。そして取得可能なeビザは、観光・商用のシングルビザで、8日以内の滞在が許可される。

eビザとは、渡航前にオンラインでビザの手続きを済ませ、ロシア入国時にアライバルビザを取得するというもの。マスコミの報道によれば、ビザの簡素化が施行されるのは2017年8月1日以降であり、7月以降テスト運用が行われるいう話もある。

もしeビザ申請の内容に、現在バウチャーに書かれるような「ガチガチの予定調和旅行の日程表」が含まれれば、自由旅行への道はまだ遠いということになるけれども、入国ビザの緩和は大きな前進であると言える。

とはいえ、現時点ではロシア大使館のビザ申請案内には上記のニュースは反映されておらず、ビザ緩和の予定については何も書かれていない。とにかく今は日露の関係を見守りつつ、そわそわと「ロシア夢の自由旅行」の実現を願うばかりである。

<ご注意!>

ビザ申請についての情報はいつ何時変更されるかわからない。今回紹介したのはあくまで執筆段階での情報である。実際にロシア旅行とビザ申請を検討する場合は、必ずロシア大使館の公式案内を確認しましょう。

在日ロシア連邦大使館 公式HP

【追記 2017年8月より電子ビザが稼働開始】

かねてより報じられていたロシアビザ緩和について、ようやく2017年8月より、WEBでビザ申請の手続きを完了できるeビザが稼働を開始した。ただししばらくの間は、うっかり手続きにミスがあって入国できないなんてことにならないように、従来通りの方法でビザを取得することが望ましい。各旅行会社も電子ビザの使用については慎重に検討することを勧めている。ビザ緩和について、詳しくはこちらの記事でまとめています。

ロシアビザ緩和の続報―ウラジオストクでeビザ開始

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